NIWAKAな綴り士

危険なモノ 奇妙なモノ そういったことに共感し思いついたことを綴ります

幽霊になるしかなかった私 (-∧-;)ノシ

ようこそ、新入部員! -13-

「いや、だから、どこで私の名前を……」 「ヒントはやった」 言いながらカイトと名乗ったそいつはまた階段に腰を下ろした。 「ともかく、俺の話を聞くしかないんじゃないか? 小我裕生」 語尾を吊り上げた後、パネルがひっくり返ったように笑みがいやらしいモ…

ようこそ、新入部員! -12-

頭にピキッと走るモノがあった私はさっさと屋上階に上がりきる。 「今日来るとは思わなかったぜ」 「……はあ?」 「いや、だってお前泣きそうだったからさぁ」 目を落ち着かせるのに費やしたあの数分間を思い出して頭が熱くなる。 つい力んでしまい、首筋辺り…

ようこそ、新入部員! -11-

数分後、私はトイレから出てきた。 引き絞られた恐怖がねじ切れて怒りに化ける数分だった。 あいつの胸ぐらを締め上げなければ。どこで私の名前を――。 考えながら持ったままになっていた文庫をポケットに押し込んだ。 もう片方の手にはあの紙切れ。 印字され…

ようこそ、新入部員! -10-

一口乗らないか? って 金髪ののぞき野郎はそう言いながら壁の上で組んだ手に顎を乗せた。 暗がりに白い歯が栄えている。 ルイス・キャロルの考えたいやらしい猫みたいだ。 「な、なんなの、あんた?」 嬉々とした様子でそいつを口をひらく。「それじゃあ説…

ようこそ、新入部員! -09-

「ううぅ……消えたいぃぃ……」 恥ずかしいぃぃ……ちょっと熱出るくらいだよこれ。 やばい、変な汗滲んできた。 いくら頭を振り回しても、さっき見たきょとん顔が振り払えない。 むこう一ヶ月は思い出すたびに顔が火を噴きそうだ。 しばらく便座に座って身悶えて…

ようこそ、新入部員! -08-

私は上り階段を横目に、廊下へ出たところにあるトイレを目指した。 それにしても、「確かに、あんな目で見られるのはお断りだなぁ……!」 独り言をしながら廊下に出た私は、 つんのめるようにして足を止めた。 目の前に今し方見た背中がある。 スリッパと床が…

ようこそ、新入部員! -07-

次の日が来るのもあっという間だった。 本日も教室内の空気に徹し、瞬く間に放課後。 そして私には行き場がない。 最低限それと見えないよう、鞄を下足のロッカーに押し込んだ後、 仕方なく校内を彷徨(うろつ)き回った。 相も変わらず廊下に生徒の姿はない…

ようこそ、新入部員! -06-

教室は施錠されてるので、行く当てなんかない。 「カコンッ」と、ししおどしのようにうなだれた私は、 一階に下りて教室横のトイレに入った。 まいったな。屋上は開放されてないからなぁ。 今さら、入部を取り下げるのも間が抜けてる気がするし、 そうは言っ…

ようこそ、新入部員! -05-

「まあ、この学校の制度が産んだ不幸だ。 あの連中、帰りたくても帰れない。 だったらせめて、溜まり場を作ろうってわけだ。 素養がなくても、ないなりに頭は使えやがるからな。 運動系クラブだと、体育教官が睨みを利かせてる。 活動放棄はまず無理だ。 そ…

ようこそ、新入部員! -04-

私は資料室をスルーして、 すぐ隣にある図書室に足を向けた。 古さよりもそげの方が気になりそうな長机を、 漫画研究部の連中が陣取っている。 打って変わって健康的な賑やかさが耳をくすぐってきた。 貸し出しカウンターに無音で足を向けると、 「君、新入…

ようこそ、新入部員! -03-

最高だ! と思った。 まさに個人主張と無干渉の塊が顧問なのだ。 あの手の『でもしか教師』が顧問するクラブが まともに機能しているはずがない。 どうかすると、活動破綻している可能性も望める。 ――無生産なお喋りを延々やってる 馴れ合いクラブというわけ…

ようこそ、新入部員! -02-

攻めに転じた春と、受けに身構える冬がささめき、 廊下を満たす温度はわりと快適である。 その所為か、職員室前の廊下は進入生徒の黄色い声で忙しくご陽気だった。 そんな代物にはどうやっても同調できない私は、 歩幅の狭さが億劫に思えて仕方がない。 そん…

ようこそ、新入部員! -01-

「それじゃあ、月々千円な」 カイトは『な』のところで後ろ手に手を振った。 ジェルハードを効かせたギザギザの髪は、 頭に『不逞(ふてい)の』を付けているようで、 輩(やから)特有の軽々しさを目に見えるようにしたみたくに逆立っていた。 彼の後頭部がドア…

幽霊になるしかなかった私 (-∧-;)ノシ

初めまして、付焼刃俄(つけやきば にわか)と申します。 この物語は僕が以前、別のブログサイトで掲載していたものでして 途中でほっぽり出していた未完結作です。 (その際、せっかく描いたキャラクターイラストを 無駄にしやがってとねこたろう氏から厳し…