ようこそ、新入部員! -05-
「まあ、この学校の制度が産んだ不幸だ。
あの連中、帰りたくても帰れない。
だったらせめて、溜まり場を作ろうってわけだ。
素養がなくても、ないなりに頭は使えやがるからな。
運動系クラブだと、体育教官が睨みを利かせてる。
活動放棄はまず無理だ。
そこへ行くと文化系クラブは部員もさる事ながら、
顧問もへっぴり腰が多い。そこへ目をつけたんだろうよ。
中でも文芸部の顧問はカメムシみたいな奴だからな」
カメムシか……。
私は窓際で揺れていたぱっつん頭を思い出して吹き出しそうになった――。
が、状況を把握して素面(しらふ)に引き戻される。
「昨日、体験入部したときは、あんなのいなかったんですけどね」
「四時になったらさっさと帰るよ。でも、それまではやりたい放題だ」
いやはや、とお互いに肩をすくめた。
司書さんは溜め息まで吐いている。
「そんな部活には、入りたくないですね」
「まったくだ――はい、一週間以内に返却だよ」
本を鞄に押し込み、司書さんに会釈してから図書室を出た。
今だに騒がしい資料室の前を通り過ぎる。
――職員室のあの雰囲気はこの所為か……。
なんて事だ。
活動破綻どころか、底抜けて部活崩壊してんじゃん!
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