ACT Ⅱ 始まり ―11―
乱雑なノックと絶え間ないインターフォンが響く中、
希一は靴を脱いで居間に上がった。
ふと右側の光源に気が付く。
入ってすぐの壁に取りつけてあるドアフォンだ。
そのモニターが点いている。
外の連中が余りにもカメラに近づき過ぎているので、
明と暗を繰り返してるだけの映像だったが。
――次の瞬間。
瞼を剥いて真円になるまで眼を見開いた顔が、
正気の失せきった顔が映った。
希一は反射的にモニターを切った。
荘輔はと言えばドアを見据えたまま動かない。
その時、ドアの異常に気が付いた。
チェーンロックの少し上あたりで
ドアが何かを噛み込んでいるのだ。
目を凝らすと親指を抜いた四本の指が
ひくひくと痙攣していた。
指であると確認した途端、
下っ腹に沸騰したようなボコボコという異変を感じた。
いきなり舌を強烈な酸味に刺された希一はその場で嘔吐した。
続く → http://niwaka151.hatenablog.com/entry/2016/01/28/110644